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呼吸器外科 治療方針

肺がん・気胸の治療方針

肺がん・気胸の治療方針

肺がんに対する診療を一つの科で総合的に行うことを目標としております。病気が見つかった時点から始まり、正確な病状の診断、病状にあわせた治療、治療後の経過観察、再発した場合の対応などを一貫として行っています。治療方法は病状により外科治療(手術)、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)の中から選択されます。二つ以上の治療方法を組み合わせる場合もあります。

 

外科治療では安全性、低侵襲性、根治性のバランスを考え、胸腔鏡手術も積極的に取り入れています。診療ガイドラインや最新のデータに基づき、現時点で最も有効性の高いと考えられている治療を行うことを基本としています。

 

※ 肺異常陰影:健診などで発見された肺異常陰影に対して、64列マルチスライスCTとPET-CTを中心とする最新の機器で精度の高い画像診断を行っています。画像上悪性が疑われる場合には、経気管支肺生検、CTガイド経皮的針生検、胸腔鏡下生検などによる組織診断や細胞診断を行います。

 

気胸は病状に合わせて、安静経過観察、チューブドレナージ、胸腔鏡手術などの治療法を選びます。CTにて気胸の原因となった肺嚢胞が確認された場合は、再発の可能性が低く体の負担も比較的少ない胸腔鏡手術を勧めています。胸腔鏡手術を行った場合、入院期間は通常1週間以内です。

 

呼吸器外科における内視鏡手術(胸腔鏡下手術)について

呼吸器外科における内視鏡手術(胸腔鏡下手術)について

近年、多くの手術で内視鏡を使った手術が可能になってきました。胃癌や大腸癌、胆石に対する腹腔鏡下手術と同様に呼吸器外科でも肺癌や自然気胸・縦隔腫瘍に行なわれてきています。当院でも半数以上の手術が胸腔鏡を使った手術です。

 

胸腔鏡下手術とは

胸腔鏡下手術とは、0.5-1.5cmの孔(あな)から胸の中(胸腔)に内視鏡を挿入し、ビデオモニターをみながら行う手術です。実際の手術では、3-4箇所の孔から胸腔内に手術器具を挿入し行います。手術操作は大きく開胸して(通常の手術)、行なっていることと同じことをテレビモニターを見ながら行います。小さな傷で大きな手術をすることができるわけです。ただし、摘出した肺を取り出すため1箇所の孔を3-4cm前後に広げて取り出します。内視鏡およびすべての手術器具は肋間から挿入しますので、痛みの原因となる筋肉・神経の損傷がほとんどなく、術後の創部痛も開胸術に比べはるかに軽減されます。

 

胸腔鏡下手術といっても施設によって異なります

胸腔鏡下手術といっても施設によってその内容は大きく違います。胸腔鏡下手術は、大きくわけて2つの方法があります。


  • 胸腔鏡補助下手術:通常の大きな創よりも小さな創で行なう小開胸手術。

    小開胸創から覗き込む操作と内視鏡を利用したビデオモニター下に行う操作を組み合わせた方法です。これを胸腔鏡補助下手術と呼びます。小開胸創も施設によって大きさが5-10cmと異なります。 通常の手術の感覚を持ち込んだ手術ですが、覗き込むため肋骨と肋骨の間(肋間)を無理に拡げたり(術後痛みが強くなる)、狭いところから無理に見るようになるため幾分視野展開が悪く危険なことがあります。また、手術をしている術者以外の医療者には手術操作が見えにくいことになります。
  • 完全胸腔鏡下手術:小開胸は併用せず全てをビデオモニター下に行う方法で完全胸腔鏡下手術と呼びます。

    術者にとっては通常の手術とは全く別の世界の手術となります。やや手術操作の難易度が高くなりますが、ビデオモニター下ですので操作部位はかなり拡大した映像での手術となる利点があります。また、実際に手術をしている術者と手術室にいる医療者全員が同じ場面を見て手術操作が行なわれることになります。これは通常の手術には無い完全胸腔鏡下手術の利点といえます。

当院では2の利点を活用した完全胸腔鏡下手術を行なっております。

 

 

胸腔鏡下手術には適応があります

手術は病気を治すことが第一の目的です。その目的の達成のために手術方法には適応があります。
胸腔鏡手術が適応となら無い場合がいくつかあります。

 

  • 肺癌治療としての根治性が不充分と判断される場合
  • 特殊な手術操作が必要とされる場合
  • 胸腔内に高度の癒着がある場合
  • 輸血を必要とする可能性がある場合

 

などです。

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