vol.29 肝臓の病気
※このページの内容は、恵佑会だより発行時点のものです。
~どんな病気がある?検査方法は?~
肝臓の働きは?
肝臓の働きは?
肝臓は人体の化学工場とも言われ、その主な働きには①代謝、②解毒作用、③胆汁の生成・分泌の3つがあります。
- 代謝
肝臓は胃や腸で分解・吸収された栄養素を、利用しやすい形にして貯蔵します。必要に応じてそれらを分解してエネルギーに換えます。必要以上にエネルギーを摂取すると、肝臓に脂肪が蓄積し脂肪肝になります。 - 解毒作用
肝臓は摂取した物質(アルコールや薬など)や代謝の際に生じた有害な物質を、胆汁や尿中に排泄するという解毒作用を持っています。 - 胆汁の生成・分泌
胆汁は肝臓の中で常に作られていて、脂肪の乳化とタンバク質の分解をしやすくする働きがあります。
またコレステロールの対外への排出にも必要です。
肝臓にはどんな病気がある?
肝臓にはどんな病気がある?
主な肝臓の病気はウイルス肝炎(A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、E型肝炎)、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害、自己性免疫肝疾患、脂肪肝などがあります。病気の経過により急性と慢性に分けられ、慢性の病気は慢性肝炎から肝硬変に進行していき、肝硬変からは肝臓がんが発症しやすくなります。
肝臓の検査方法は?
肝臓の検査方法は?
肝臓の調子(肝機能)は簡単な血液の検査で知ることができます。肝機能に異常がある場合は、その原因を調べる検査を行うことになります。追加の血液検査やエコー、CTなどの肝臓の形態を調べる検査や、胃カメラを行う場合があります。
NASHとはどんな病気?
NASHとはどんな病気?
脂肪肝は大きくアルコール性と非アルコール性に分けられますが、非アルコール性で進行した状態の脂肪肝をNASH(ナッシュ)と診断します。
NASHは肥満者に多く発症し、糖尿病、高血圧、高脂血症を合併することが多く、生活習慣病と考えられています。最近著しく増加している病気で、肝硬変に伸展し肝臓がんを発症することもあり注意が必要です。
肝臓は沈黙の臓器?
肝臓は沈黙の臓器?
肝臓は予備能力が充分にあり、確かに症状が出にくい臓器ですが、決して何も症状がない訳ではありません。
疲れやすい、食欲が低下した、身体が痒い、尿の色が濃いなどの症状がある場合は、簡単な血液の検査で肝臓の調子が確認できますので、ぜひ消化器内科を受診してください。
狩野 吉康(かりの よしやす) 恵佑会札幌病院 顧問 |